富山県の山城・城跡

久目城

富山県氷見市久目(地図

 伝承は無い。尾根先端で、おそらくは曲輪に古墳を利用して、堀切を設けた簡易的な山城跡として知られていた。
 しかし、2025年、CS立体図によりさらに奥に遺構があることが分かった。佐伯哲也氏と共に現地調査し、山城としての遺構と判断し、城郭図を作成してもらった。
 尾根筋を二重の堀切で遮断し、北側側面に回り込まれないように竪堀を設けている。新たな遺構が本当の主郭であろう。ただ、削平は非常に甘く、臨時的に使用された城なのであろう。おそらく尾根道は中世から存在し、二重堀切で遮断しながらも敵を道へ誘導するため、北側に竪堀二本を設けるという工夫が見て取れる。北に位置する小浦城の出城として機能したのだろう。
 天正13年(1585)、能登末森城の奥村永富らが小浦城下あたりへ夜討ちをかけた。あくまで推測だが、その時の軍事的緊張時に急遽築いたものなのであろうか。
 付近は道がせまく、駐車するスペースは無いので、北側の千元池公園に駐車するのがいいと思う。(撮影2025年3月)

久目城 城郭図
久目城 城郭図(佐伯氏より提供)

久目城遠景
久目城 遠景(北側から)

東側登り口
東側麓の車道からの入口。奥に墓があります。

小浦城 案内板
墓の奥へ道が通じています。
入っていくと、農作業車も通れる道に合流します。

山道
少し歩き、分岐を右の細い登りの道へ。
太い道のまま行ってしまうと、奥の田んぼへ着いてしまいます。

久目城 堀切
城郭図1の堀切

堀切
堀切としては緩いのですが、B側を削っている模様。

曲輪
城郭図Cの曲輪

削平地
城郭図Bの曲輪。

帯郭
城郭図2の削平地

自然地形
西側からBを見ますが、ほぼ自然地形という感じ。


城郭図3の堀切。
堀切と言っていいのか疑問なほど小規模。
Aの曲輪と連携していたのであろう。


尾根筋の道を奥へ入っていきます(城郭図4)。
藪がひどいですが、道は明確に存在します。

久目城の堀切
道を登ると、城郭図5の堀切にたどり着きます。
見事な堀切です。


5の堀切を上から見ます。
山道が折り曲げられています。


城郭図6の堀切(南側)

二重堀切
二重堀切を北側から撮影。左上が主郭A。

久目城の主郭
久目城主郭(城郭図A)。
2025年新発見以前はBが主郭と思われていました。
ここの削平も甘いです。

竪堀
城郭図7の竪堀

久目城の竪堀
城郭図8の竪堀


城郭図9の部分。曲輪にしようとして削りかけたのかな?


城郭図10の小堀切